ファーミングシミュレーター

ファーミングシミュレーター

eスポーツといえば近未来的で展開の早い戦術や戦略を駆使してスタイリッシュにキメるイメージがあるかと思います。メジャージャンルには、FPS(ファーストパーソンシューティング)、MOBA(マルチオンラインプレーヤーバトルアリーナ)、RTS(リアルタイムシミュレーション)、TCG(トレーディングカードゲーム)、レーシング(乗り物)、スポーツ、(サッカー、野球、バスケットボールなど)そして格闘ゲームなどを思い浮かべるかと思います。

ですが、それとは真逆と言っても過言ではない別次元のジャンルが確立されていました。それが農機シミュレーターが含まれる“農場eスポーツ”です。飛行機のパイロットを養成する際に使われるフライトシミュレーターなど操縦に必要なシステムがゲーム化されています。それに加え、RTSのような要素も入っていて農場を経営しながら農作物を増やしていくというただ単に農機を操縦して上手さを競うだけではない側面があります。

ファーミングシミュレーターとは

一言で言えば、街を作る『シムシティ』の農場版です。これは現実に近い環境と状況がゲームスタート時に設定されていて、農家として農具、作物の種、農機であるトラクターやコンバインなどを購入します。そこから納屋、穀物貯蔵庫や水車など実際の農場にある建物を建てることができます。他のeスポーツタイトルと違う点は、完全に自分の裁量でゲームをどこまでやるか決めることができ、自己満足に浸ることができます。

このファーミングシミュレーターは色々なプラットフォームから発売されており、25ドル前後とコンテンツのグラフィックやゲームボリュームを考えるとお手ごろな価格で販売されています。ゲームを始めるにあたって、チュートリアルもあるのでそう難しくはありませんし、操作やゲームを進めるにあたって分からないことがあればそれに対する膨大な補助機能が付いています。

ファーミングシミュレーターがどうしてeスポーツに?

恐らく大多数の人にはファーミングシミュレーターがなぜeスポーツなのか腑に落ちないかと思います。ですがテンポも遅く、自己満足に比重を置いている内容に見えるこのタイトルにはマルチプレーヤー機能がついています。これは自分の友達や知らないプレーヤーと一緒にオンラインで1つの農場を経営するなり、各自が1つの農場を経営して互いの作物収穫量を競うことができます。オンラインでプレーする事によって、多数のプレーヤーと強力したり複数の農場を運営する事ができます。

ファーミングシミュレーターにおけるeスポーツは収穫期の収穫量で競います。3~5人が1つのチームになり、より収穫量の多い農場を作ります。もちろん他にも稼いだゴールド、農機具などが勝利条件に含まれるケースもあります。トーナメントによってはプレーヤーに幾らかゴールドを持たせてゲームを始めたり一定の農機具の範囲内で消耗品として競わせます。これらはより競技性が高まりますが、状況によってはあまり面白くないかもしれません。このファーミングシミュレーターにはたくさんのスポンサーが付き、ファーミングシミュレーターのeスポーツとしてのシーンを盛り上げています。実際の農機具ブランドがファーミングシミュレーターリーグに参加していて、とても興味深いものがあります。ファーミングシミュレーターリーグに参加しているプレーヤーには本物の農家がいて、いかにこのeスポーツが農機具ブランドや農家とつながっているかよく分かります。

誰がプレーするのか

ファーミングシミュレーターは実際の農業からアイディアを得て、実在する農機具を使っています。例えば農機具大手の米ジョン・ディア、独レムケン、伯スタラなどがリーグに参加し、シミュレータにも実際に登場し、それが関係してプレーヤーの平均年齢も比較的高くなっています。もちろん、一部のeスポーツ選手には年齢の若いプレーヤーがいますが、ほとんどが30代半ばで一番のファンは農家の人たちです。

このタイトルがなぜ他のタイトルに比べ年齢層が上かというと、他のシムと違いより実践的であり、何かを建てたりするのはメニュから購入し簡単に建てることができるからです。もちろんその時々に合わせた農機具で畑を耕したり農作物の面倒をみたりして生産性を上げます。シミュレーターですので、現実よりは早く時間が経過しますがそれでも他のタイトルに比べるとプロセスが長く退屈するかもしれません。現実的な農業に近く、農業関係者やトラクターなどの農機が好きな子供などを魅了しています。

ファーミングシミュレータeスポーツトーナメント

驚くべきことに、ファーミングシミュレータのトーナメントは少なくありません。スウェーデンのドリームハック・ライプツィヒとインテルエクストリームマスターズ・カトヴィツェなどのメジャーなeスポーツイベントでも取り扱われています。トーナメントと賞金総額はそこまで大きくはありませんが、知名度が低いeスポーツにも関わらず頻繁に開催されていることには驚きます。他にもファーミングシミュレータリーグで$250,000まで賞金総額を押し上げましたが、ほとんどは開発会社であるジャイアンツが開くオフ会コミュニティである「ファームコン」にとってあります。2020年後半までに多くのトーナメントが開かれましたが、2019年の時点では今年のリストになかったトーナメントも開催されています。以下に今年の残りリストを記載します。

5月16日~17日 Third Online Farming Simulator Tournaments. 賞金総額 12,000ユーロ

7月16日~19日 Farmcon 2020 (オンライン) 賞金総額 100,000ユーロ

今年は特異な環境下にあり、昨年より開催されているトーナメントが少なく7月以降の大会はまだ未発表ですが、ひょっとしたら何か企画されるかもしれません。

これらの大会にはゲームズコンとチューリッヒゲームショウが含まれていて、5月と7月の大会と同じように12,000ユーロの賞金総額が用意されています。この金額は恐らくFSL(ファーミングシミュレータリーグ)の相場なのかもしれません。新型コロナウィルス(COVID-19)が本格的に影響を与える前にオンライン移行したので、本来であればもっと開催される予定だったのかもしれません。

ファーミングシミュレータリーグについて

ファーミングシミュレータリーグはその名の通り、ファーミングシミュレータを使った正式なeスポーツリーグです。これは他のeスポーツと同で、他タイトルにも存在する名門チームもあります。リーグには1部と2部があり、合わせて20チームが参加していてシーズン中に活動しています。シードには知名度が高いチームにあり、ワイルドカードはまだ認知度が低いチームを指します。

FSLチーム

シード

Amazone: Hennes “Ceus” Salter, Jan-ole “Pantera” Jager, Robin “Catros” Elbers

Bednar: Filip “ConnorPlay” Dolejs, Pet “Peterman26” Zivota, David “Dawes” Cvan

Berthoud:Charles“charles” Voisin, Nathael “Nathael” Nousse, Matthew “Matthew” Armstrong, Vincent “Vincent” Villaneuve. A creative group this bunch.

Claas: Frank “Franta Clause” Claussen, Domenic “Klopfie” Drechsel, Michael “Micha” Klein

Grimme: Thomas “Scotty” Gottbehode, Marcel “Marci” Rusche, Martin “Martin” Paulsen

Horsch: Marcel “MrMarcel5” Renke, Niklas “Niggles” Werner, Maximilian “K3MN1K” Kemnik, Julian “N1Jul1an” Neider, Malte “Monte” Schuenemann, Vincent “deutzfreakwsm” Laatz

John Deere: Fabio “FlexoFabio: Auerbacher, Benedikt “sippi3” Dahme, Markus “gerch” Steinmuller, Manuel “Nullsteing” Zeiler

Komatsu Forest: Marvin “Marv” Koch, Andreas “Spark” Fode, Steven “Knusper” Koch

Krone: Andreas “Aledude” Beisswenger, Sascha “BlackJack” Straub, Lukas “STR” Steurer, Martin “deelerz” Potzmader, Frederic “Jackaroo” Leifeling” Maximilian “MarschellMaiden” Fritz

Landeier by Astragon: Stefan “BamBam” Englberger, Jascha “Gammelbacke” Warnecke, Tobias “DaWaldler” Binder, Ralf “skuriles” Fliegauf

Lindner: Florian “Flowtschy” Delephont-Muller, Patrick “Zerzerus” Shuster, Dominik “Dropwell” Puhringer, Robert “Bull” Zeitinger, Marco “Malagrei” Reisch, Uwe “The Alien Paul” Refenrath

mYinsanity: Stephan “iamroeschti” Graf, Dario “Achso” Nobel, Rafael “Aspartem” Kink

Trelleborg: Lukas “Luk4s” Bauer, Felix “Rablix” Hasenberger, Simon “Seiman” Hollweck, Oke, Guthsy” Guths, Joshua “Joschisch” Lobenhofer

ワイルドカード

Alki-Agrar: Frank “Flying-Frank” Bruseke, Chris “Kniffo” Weinert, Kevin “Hackwurscht” Hackworth

BG Powered by Stark: David “David” Linnenbrink, Nico “Niggo” Sonntag, Danny “Lahmi” Lahmann, Richard “Richi” von Einsiedel, Simon “Siwuees” Wuest, Jorg “Jorgi” Buß

JZD Czech Republic: Michal “meli” Melicher, David “HYPER” Hudecek, Josef “Chosse” Emmer Lukas “Naftist” Kripal, Josef “Libronax” Kotesovec

Landwirtschaf T3.0: Justin “Virex” Wittkop, Jan-Pascal “JP” Peetz, Marcus “Marcus” Hennecke, Phillip “Phillip” Nagler, Johannes “Yolofarmer” Bar

SDL Logitech: William “Wallon” Francois, Marlonn “En3rgie5” Ollivaux, Antoine “Anotine” Lhertier

Team of Elite Guys: Yurii “Martyr” Batazov, Alex “Mertycle” Khripunkov, Igor “IMPERIVM” Proshin

VK: tomas “reno” Galuska, Vaclav “Ventil” Sklenak, David “Baff” Galuska, Aneta “Bazuczka” Liehrova

これらは現在のリーグに参加しているチームであり、どのチームがいつでもシードとワイルドカードの間を行ったり来たりします。他にももちろん幾つかのチームがプレーインステージへ進むことができます。

FSLスタンディング

Trelleborg 910 points
John Deere 560 points
Krone 490 points
Landeier by Astragon 380 points
JZD Czech Republic 370 points
Grimme 360 points
BG Powered by Stark 230 points
Lindner 230 points
Horsch 210 points
Komatsu Forest 150 points
VK 130 points
Claas 110 points
Landwirtschaft3.0 100 points
Amazone 90 points
mYinsanity 90 points
Team of Elite Guys 30 points
Alki-Agrar 30 points
Bednar 30 points
SDL Logitech 30 points
Berthoud 0 points

他のeスポーツトーナメントと同じように年間を通して開かれるトーナメントに参加し得た順位にサーキットポイントがあれば、それを増やしていく事でチームのスタンディングを上げてゆくゆくは賞金も視野に入っていきます。

ファーミングシミュレータをプレーするにあたって

このタイトルをプレーする際に、プロとアマの違いが明確にあります。より多くのルールを設けており、競技性を高めているのでカジュアルプレーにはない制限などが設けられています。他にもマップにも違いがありますので、これらについて少しご紹介します。このタイトルでは農業を行うために必要かつ実在する農機具が登場し、自分のみがプレーしている場合は資源が許す限り何を使ってもかまいません。これが競技となると使える農機具が減り、バンフェーズが発生する事でさらに農機が限られてきます。これが競技性を高めファーミングシミュレーター観戦を面白くさせているのです。もちろん他の小規模なトーナメントにはより制限が緩く、競技性をそこまで求めない形式もあります。自分だけで楽しみたい場合は、時間に余裕がある時です。ゲームメカニックは大体同じで、スピードと正確さが必要とされブーストドローンを除き大体15分以内でプレーする事を求められます。

ファーミングシミュレーターリーグ観戦

FSLの観戦はとても簡単です。こちらのVODから観戦する事が可能で、英語とドイツ語が選べます。もちろん、日本語で動画配信をしているプレーヤーもいますので配信プラットフォームであるツイッチやユーチューブからでも観ることができます。ユーチューブの方では、前作シリーズからプレーを配信しているのでどの様にゲーム内容が変わってきているのか把握するのに良いかもしれません。VODの方では、正式なサイトからですのでよくチームを組んでマッチを行っていればチーム能力や現在の形式を把握するのに良いですよ。ほとんどのトーナメントは1対1のシングルエリミネーションブラケットです。1人1つの農場を与えられ15分間耕します。時間が短縮されている分、たくさんの事をするイメージがありますが、いたってシンプルだということが分かります。基本的にチームとして麦と藁を収穫します。牧草ロールをフィールドから指定の場所へ配置する度に10ポイント得ることができます。しばらく時間が経つと両チームともドローンがきて牧草ロールを得るポイントや麦をコンベアに降ろした時に増やしてくれます。このポイントブーストは勝利に必要条件であり、牧草ロールと麦などのストックによって得点の増え方が違ってきます。FSLには2人のキャスターがいて、彼らがマッチの進行を解説してくれます。他のeスポーツと同様に彼らが登場することで、ゲームが盛り上がり詳細も理解しやすくなるのです。今後も本サイトでビューワーガイドをアップするかもしれませんので、要チェックしてください!

終わりに

人によってはこれがeスポーツにおけるタブーになるかもしれませんが、ファーミングシミュレーターは現実世界との架け橋となります。このタイトルはゲームと農業という人間社会の根幹である社会をつなぐ架け橋となります。賞金総額が$250,000という額はハースストーンにも劣らずトーナメントもたくさん開催されています。ゲームのクオリティは高く、プロシーンではゲームメカニクスをオファーしており独自のメリットがあります。それと同時にもっとも簡単なeスポーツとして始めることができます。農業はほとんどの人たちが何らかの形で携わっていたので親近感があり、馴染みやすいのです。他のeスポーツタイトルとは違い、レーザービームやそれぞれ違う能力を持っている100人のキャラクターが出てくるわけでなければ大きな戦略で15もの違うユニットがウルトラ高精細なグラフィックで描かれているわけでもありません。ただただ伝統的な農業でありエッジの効いた競技性を盛り込んであるゲームです。時間に余裕がある時にプレーするにはとっておきのゲームですし、トーナメントが開かれている間に観戦するとより楽しいかもしれません。

 

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Katsuhiro

2020年 6月 25日

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